【完】千鳥の舞う花火。








「……百合は、生きてよ。」




千鳥ちゃんがそう言ったのは、あたしの涙が漸く収まった頃。




「え……?」




千鳥ちゃんはあたしの気持ちを見透かしたかのように、優しく微笑む。




……どこまで、千鳥ちゃんは綺麗なんだろう。



自分の方が、大変なのに。

自分の方が、危ないのに。



あたしも昴くんが好きなこと、知ってるはずなのに……。




「……死なないよ。負けたくないから……。」




同じ死でも、全然違う。


自殺と他殺、自然死の、重みは。




「千鳥ちゃんに、負けたくない。」




あたしに勝ち目なんて無いだろうけど。



あたしが死んだら、それでこそ、負けな気がする。








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