聖夜に舞い降りた天使
重い足取りでアパルトマンの扉へと続く階段を上り、ずっしりとした鈍い音を響かせて扉を開けた。

革靴と濡れてしまった靴下をその場で脱ぐ。

真っ暗なリビングルームを電気をつけることもなく通り過ぎ、階段を上り、廊下を渡ると自分の部屋へと戻った。





扉を開けた途端、外から僅かに漏れる光に照らされた机の上に置いてある不格好なクリスマスツリーが僕の目に飛び込んできた。


胸を急かされるようにそれを手に取ると、壊さないようにそっと抱き締めた……










アンジュの作ったクリスマスツリーから
まるで彼女の温もりが僕の身体に流れ込んで来るようだった。















(あたた、かい……)




















「ゔっ…ぐっ……ゔぅっ……」










喉元から熱いものがこみ上げてきて、
胸が抉られるような痛みが突き刺し

嗚咽を漏らしながら僕は泣いていた。










アンジュが亡くなった時にもそれからだって、一度も泣いたことなどなかったのに。










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