最後の恋愛Ⅱ
「ちょっ、しょちょ・・・っ」

「所長じゃなくて、名前で呼べって。」

名前って・・・

それで、あの女の人が呼んでたその名前を思いだして、一気に頭が冷静になった。

大麦を引き剥がして、唇を手の甲で拭って言う。

「お試し期間が済んだら、その時に考えます。」

大麦は微笑んでそうかと囁くように言った。

ん?

何か余裕を感じる。

何でだろう。

「さて、朝飯できてるぞ。シャワー浴びるか?」

おおお

至れり尽くせりづくめだね

大麦、良いお嫁さんになれるよ~

「じゃあ、先にささっとシャワーを」

「一緒に浴びる?」

「それは、セクハラですね?」

「今は、勤務時間外だから大丈夫。」

そういうのを屁理屈って言うんだってば

けど、バスルームにまで乱入されかねないからお風呂は考え物だな・・・

って思案してたら、大麦がふっと微笑んだ。

「そんなにがっついてないって。入ってくれば?」

そうか・・・?

めちゃくちゃがっついてるように見えるけど

何回も襲われそうになってるような気がするけど

ま、今は信じておこう

さすがにシャワーを浴びないで会社に行くとかありえないし

「じゃあ」

時計を見遣りバスルームへ向かう

まだ6時

時間は十分だ。
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