ワンダーランドと春の雪





彼はマリーちゃんが言っていたとおりの外見をしており、薄紅色の肌に切れ長の目、そして
額から生えた二本のツノは、まさに“鬼”の姿そのものだった。



あちこちケガをしていて服はボロボロだけど、
思ったより綺麗で凛とした男の子らしい顔立ちが、短い銀髪によく似合っている。




「はー。外に出れたんなら、これはもう
いらねーか」



ジョニーくんはそう言って、つけていた
手錠と足枷を無理矢理はずしている。

拘束具の心配は無かったみたい。





「疑って悪かったな!どうもありが――えっ」


「えっ」





ジョニーくんが私の顔を見た瞬間、彼は
目を見開いて驚いたような顔をした。

……いや、あれは驚いたというよりも
泣き出しそう、と書いた方が正しいのかもしれない。





そして。







「ミラク」





突然彼が口にした名前について

聞き返そうとした時にはもう何もかも、
全てが手遅れだった。



何故なら

彼は私を抱き締め、そのまま唇にキスしていたのだから。




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