指先に囚われて…

初恋



 一歩外に出れば、体に纏わりつくようなジメジメとしたものと雨の匂いがするこの頃。


梅雨というのはあまり好まれないだろうけど、私はこの独特な気候がとても趣があって良いと思う。


校庭や道端で見かける紫陽花が、天然の水玉の飾りをつけ、雨が上がればそれが光に反射して、より一層美しいと感じる。


この間の思ってもみなかった出会いは私の中で特別なもので、あれから3日程しか経っていないのに、私はまた夕さんに会いたいと思っていた。




…―


「美弦♪次、先生が風邪ひいて自習だってさ♪」


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