優しすぎるくらいの。
4月


「それじゃあ、席替えするぞー」
担任の先生の声がクラス中に響く。
「また一緒になれるといいね!」
隣の子がニコニコと笑う。
「...そうだね...。」
《ああ、またやってしまった...》
あまり嬉しくなさそうに私は返事をする。これで何度目だろうか...。
小学校に入学してはや6年。このクラスに仲の良かった子は、一人もおらず、休み時間も一人で過ごしている。
「はぁ...。」
何度目かも知らないため息を吐くと、教壇の上にあるくじ引きの紙を手に取った。
「12番...。」
廊下側の一番後ろの席。
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