届屋ぎんかの怪異譚
✿四、二つの邂逅


✿四、二つの邂逅

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ピン、と糸を張ったような緊張の中、朔が小さく息を吐く音を銀花は聞いた。



髪が落ちる音さえも聞こえてきそうなほどの静けさの中で、だれもが息をひそめてじっとしている。


重い沈黙は淀んだ水のように室内に満ち、そこにいる四人に身じろぎひとつ許さない。



昼の光が障子に遮られた薄暗い部屋の中、銀花と朔はただじっと、目の前に横たわる若い男を見ていた。



銀花と朔は、首吊り未遂の男の家を訪ねてきていた。


背後に控える夫婦は、目の前の男の両親であり、彼の首吊りを止めた張本人でもある。



「とくに変わったこともなかったはずだ。親の贔屓目かもしれんが、毎日元気に働いて、笑顔の絶えないいい息子でなぁ。まさか首をくくるなんて……」



事情を聞きに来た銀花と朔に、男の父親はそう言った。

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