届屋ぎんかの怪異譚
肩凝ったなぁ、と思って銀花は軽く首を回してみる。すると、
「おまえ、休憩してこいよ」
沈黙を破り、ふいに朔が言った。
「え、でも……」
「その辺ぶらついてくるなり、なんか食ってくるなりしとけ。半刻後に交代な」
有無を言わせずそう言って、朔は再び弥吉に視線を戻した。
申し訳ない気持ちもあるが、やはりじっとしているのに疲れていたし、お腹も空いていた。
銀花はその言葉に素直に甘えることにした。
朔にもなにか美味しいものを買ってこよう、と考えながら、弥吉の家を後にする。
細い路地を抜け、大通りへ。
ちょうどお昼時だからか、通りはかなり賑わっていた。
人にぶつからないようにしながら店を見て回ることは不可能に近い。