届屋ぎんかの怪異譚



――――――――――


閃光が宙を斬った。



あまりにも唐突に始まった二人の闘いに頭がついていかず、呆然と固まっている銀花の隣で、キン、と硬い音がした。


驚いて反射で身を引いて、それが刀どうしのぶつかり合う音だと気がついたのは、その一瞬後。



受け止めた刀を押し返して、今度は朔が斬りかかる。


けれど晦は軽やかに後ろへ跳んでそれをかわすと、挑発するようににやりと笑ってみせる。



銀花の隣で、朔が地を蹴った。



「朔……!」



離れていく朔の背中を思わず追いかけそうになり、しかし銀花は猫目に手を引かれて止められた。



「銀花は危ないから下がって」


「猫目……」



銀花をかばうように前に立ったその背中に、小さくつぶやいた。


訊きたいことがあるのに言葉にならず、名を呼ぶことしかできなかった。



しかし猫目もそれはわかっているのだろう。


小さく微笑むと前を向いて、背中で言った。



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