新婚の定義──嘘つきな君と僕──
夕べのレナの言葉が本当だとしたら、自分はレナと再会して付き合い始めてからの1年間、ずっとレナの嘘に騙されていたことになる。

(疑ってもみなかったのに…今頃になって、それを言う必要はあったのか…?)


“ユウの知ってる私だけが、私のすべてじゃないよ。ユウならわかるでしょ?私にユウの知らない過去があっても…秘密にしても、嘘ついても…私は、私なの。嘘をついた私はもう、愛せない?ユウは、どっちの私を信じるの?”


レナの言葉が、何度も何度も頭を巡る。

(好きな人の過去を知ることが、こんなにつらいなんて…。)


再会してから、離れている間のいろんな話をした。

レナがどんな風に過ごしていたとか、どんな物が好きだとか…。

自分の知らないレナを知るのが嬉しくて、見たことのなかった表情をひとつ知るたびに、前よりもどんどんレナを好きになった。

怒った顔やすねた顔さえかわいくて、どうしようもなく愛しくてたまらなかった。

好きで好きで、どうしようもなくて、ずっと抱きしめていたいと思ってたはずなのに…。

(レナが…オレの知らない人になったみたいだ…。オレは、どうすればいいんだ…?)

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