新婚の定義──嘘つきな君と僕──
ユウの帰りを待っていたレナは、時計を見てため息をついた。

(誕生日…終わっちゃったな…。)

時計の針は2時をさしている。

(私の誕生日も、終わっちゃった…。)

何度スマホを確認しても、ユウからの連絡はない。

(私、バカみたい…。)

レナは静かに立ち上がり、ユウのいないベッドに体を横たえる。

(仕方ないのはわかってるけど…やっぱり、ユウがいないと寂しいな…。)

ただひとつ歳を取るだけの日なのに、ユウがいたらそれだけで特別な日になる。

(ユウ…今頃、どうしてるんだろ…。)

レナはユウの温もりを求めるように、布団にくるまってうずくまる。

(なんだか…ユウが、どんどん遠くに行っちゃうみたいだよ…。)

寂しさに耐えるレナの頬を、温かい涙が伝う。

結婚したら、誰よりもそばにいられると思っていたはずのユウが、やけに遠い。

(今頃…あの子と一緒にいたりして…。)

レナは、自分の知らないユウの過去を、ユウが話してくれないことにも、自分から聞けないことにも、これでいいと言い聞かせながらも、不安に飲み込まれそうになる。

(こんなんで私たち…この先も、ちゃんと夫婦としてやっていけるのかな…。)
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