ホラー短編集
「も~、退屈だ……」

 夏休み。いつものように惰眠を貪り、昼近くに漸く起きたら誰もいなかった。

 パパは出張中で、ママも仕事に出ている。

 しかも今日は遅番らしく、夜まで帰ってこない。

「テレビも見飽きちゃったよ」

 唯一の救いはお昼ご飯を用意してくれてた事。
 おかげで空腹を満たす事は出来たけど、暇を持て余している事に変わりはない。友人にメールを送ってみたものの、返事が一向に返ってこない。

「もうだめ。暇で死にそう」

 だったら宿題でもすればいいのだろうけど、その存在は露ほども思い出す事はなく。

 しかたなく、さっきから何度となく触っていたケータイを再び開く。

「あれ。新着来てる」

 音、鳴らなかったよね? いつの間に来たんだろ。

 疑問を抱きつつ、受信メールを開く。

『きょうはカレシとディズニー来てるよ~』

 ……見なきゃ良かった。ますます退屈に拍車をかけ、いらだちまで覚える始末だ。

「……この際誰でもいいから、あたしに構ってよ~。暇だよ~ッ」


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