ホラー短編集
カエリミチ


「……くっそあち~……」

 バイトの帰り。
 程よく冷房の効いた電車が最寄り駅に着き、扉が開いた瞬間の第一声がそれだ。

 夕方に雷を伴って降った雨も、どうやら焼け石に水だったようで夜の21時だというのに未だ蒸し暑い。

「マジやってらんね~……」

 思えば今日は朝から散々な一日だった。

 このところの熱帯夜続きのせいか寝付けず、やっと眠れたのは明け方近く。しかも、携帯の目覚ましアラームを仕掛け忘れるという失敗をしでかした。

 遅刻確実というプレッシャーで焦る余りに原チャのキーが見つからず、仕方なくチャリで最寄り駅まで走り、電車に飛び乗ったものの、約二時間も遅刻してしまった。

 本来なら18時に上がるはずだったのだが、遅れたぶんペナルティーとして残業し、こんな時間に帰路に付くことになってしまったのだ。




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