自惚れ男子の取説書【完】

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「なぁーんか…地味過ぎるのよねぇ…」

くわえていたストローをガラガラっと雑にかき回すと、不満げに美沙はぼやいた。

「地味過ぎって…失礼だってば美沙」

と言いつつ、私も渦中の顔を思い浮かべて確かに…と思わずにはいられない。


目の前のフレンチトーストを一口頬張る。こちらは雑誌の口コミ通り、地味とはいかずしっとりふんわりの満足いく味わいだ。今日はここのフレンチトーストを食べるべく、美沙と久しぶりの女子会…なんだけど。

「まぁ~クラスでも忘れられちゃうタイプだろうね。でもマメに面会来てるし、きちんと挨拶して感じ良いって師長褒めてたよ?」

私の正面、美沙の隣ではなぜか名波先生が当然のような顔をしてコーヒーをすすっている。

あまりに普通の顔しているけど、ここはフレンチトースト専門店。店内は女性客ばかりで、コーヒーをすする先生の存在は少々異質だ。
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