自惚れ男子の取説書【完】
「うーん…琴美ちゃんのは、聞かない方が良い話?」
「いや…話せる程の事じゃないというか。もう終わっちゃった話だし」
急に小さくなった私は、もじもじとストローを弄りながら行く宛のない視線を漂わせる。
「ふーん。終わったんだ…?あぁそういえば琴美、なんで今日に限って駅西側から来たのよ。方向音痴のあんたが道変えるなんて珍しいじゃない?」
「へっ…?あ、あぁ。ちょっと気になるお店あったから、はは」
急な質問に分かりやすくしどろもどろな私は、誤魔化すのに更に必死になる。
「ふーん」と意地悪く微笑む美沙の鋭い視線が突き刺さった。
「…当てようか?どうせ琴美のことだから、あの男に会わないですむように無理矢理違う道に変えたんでしょ?じゃなきゃ、方向音痴の琴美がそうそう道変える訳ないもん。どうせあんた、無駄に通勤ルートまで変えてるんじゃないの?そこまで気にしまくって何が終わってるのよ、え?琴美さん?」