自惚れ男子の取説書【完】
そんな無言のぼやきが聞こえたのか、
「だからぁ、一緒来いって言ってんじゃん」
「…っちょっ!」
1人が急に乱暴に私の腕を掴んだ。
さっさと立ち去る事しか考えてなかったせいで、完全に油断していた腕。軽く引かれただけで、男達の方へと簡単に身体が傾いた。
「行かないって言ってるでしょ」
「えぇー聞こえなぁーい」
ゲヘヘと笑う様はそこらの中年男性にひけをとらず、気持ち悪くて軽く鳥肌がたつ。
何も考えてなさそうなだらしのない顔。その癖、手の力は全然緩まない。
それでも抵抗しないわけにはいかないし、どうにかすり抜けようと腕を捻っていた。
その時。