自惚れ男子の取説書【完】


申し訳程度の化粧と適当な服で走り込むと、美沙は不機嫌そうに眉を寄せて壁にもたれていた。

「遅い。10分遅刻」

「ごめん。って30分じゃ無理だって。家からここまで20分あるんだよ?おかげで超ダッシュしたもん」


パタパタと胸元を扇ぐと乱れた息を整える。

美沙の一方的な誘いにもかかわらず、なんとなく謝ってしまう。
顔を洗って着替えて化粧して。そこまで20分で出来たんだから、寧ろ誉めて欲しいくらいだ。

「その分じゃやっぱり寝てたのね。目ぇ覚めた?」

「お陰様で。これだけ走れば、ね」

< 99 / 362 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop