卒業前に君に捧ぐ
そして。





「会って、ちゃんと言いたかったことがあったんだ…。」



「な、なに……を……………?」




声が震えてしまう。



その先を聞くのがなんだかとても怖い。



でも怖いけど、それでも聞きたい。




彼は慈しむように私を見つめながら、言葉を紡いだ。








「俺、君が好きだ。」







!!!!!







息ができなくなるくらいに、その言葉は私に衝撃を与えた!



「本当は、センター試験を終えたあの日に言いたかったんだけど、葉月さん……まだ受験終わってなかっただろ?だから、邪魔しちゃ悪いと思って、終わるのを待ってたんだ……。」



「た、たか……は……し…くん……。」




そんなに私のこと気遣って、思ってくれてたなんて……、



私、知らなかった……。




だんだん目頭が熱くなってきて、それは私の頬を流れては落ちる。




「俺、三年になって同じクラスになってから、葉月さんだけをずっと見てたっ!!」



「………っ。」




そして高橋くんは夕陽の中で奏でていたあの曲名を、告白の中で私に伝えてくれた。















『君を、好きにならずにはいられなかった。』





Fin


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