二匹の銀龍

好奇心だけであたしを見て
疑うような事があれば疑って

誰もあたし自身を見てはくれない

「あのさぁ」

あたしが言葉を放つと
皆はビクッと体を動かした

いつもより低い声で喋ってるからね

「あたしは自分が何者かなんて言う訳ないしいう必要もないと思ってる。」

ほんとのあたしを知ったらきっと
皆は離れていくはず

「だからほんの出来心であたしに関わらないで。」

それを言い終えたら皆唖然としていて
身動きさえしなかった

帰ろう…。こんなとこにいても無駄だ。

そう思い、鞄を持ち立ち上がるとー…

「…待て」

凍りつくような低い声で
少し怒りが混じっているような声だった

そんな声を出しているのは
紛れもない‥瑛斗だった

「何?」

瑛斗の目はあたしの全てを
見透かしてそうで怖い。

「何を背負ってるかは知らねぇ。けどな、お前を裏切りはしない。」

裏切りはしない、か…。
今までさんざんそれを言われてきて
裏切られたんだよ?

今更信じることなんか出来るわけ無い

信じる事なんて面倒臭いだけじゃん…。

「どうせあたしの正体を知ったらきっと離れてく。まあ、あたしをそこら辺の一般人だと舐めて掛かってると痛い目にあうから。それじゃ」

あたしはそれだけを言い残し
倉庫を出た。

瑛斗達がその姿を哀しい目でみていたなんて
あたしは知らなかったー…
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