空と君との間には
「西村先生の所だ」


「結城さんが行ってるって言われてましたよね」


「西村先生から呼び出しがあったんだ。『久々に出てこい』とね」


「そうなんですか……編集長」


紗世は言いながら、メモ用紙にさらさらと文字を書く。


「沢山先生の連載『空を詠む』万萬くんの『限りなくグレーに近い空』って、空繋がりですね~。何だか対抗したようなタイトルですよね~」

渡部の眉がピクリと動く。


「麻生、2作は読み比べると面白いぞ」


「えっ!?」


「『限りなく』はキャラが終止、一定の距離を保ち恋愛は深く描いていない。なのに何故か互いの心理を想像してしまう」

紗世は大きく口を開けている。


「『空を詠む』はガッツリ恋愛を描いている。着いたり離れたりしながら、色濃くな」
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