空と君との間には
「紗世ちゃん、結城には今が精一杯だ。結城は紗世ちゃんを守りたくても守れない」

紗世の目に溢れた涙が、堪えきれずに、ポロポロと零れ落ちる。


「紗世ちゃん、俺は結城に無理はさせたくない。結城が苦しむのを見たくない」

――相田さん

紗世の声は喉につかえ、言葉にならない。


「紗世ちゃん、もし紗世ちゃんが自分で自分の身を守れないなら、『結城のやり方にはついていけない』って、結城から離れてほしい」


相田の真剣な顔が紗世の胸を抉る。


「結城の部下を自分から断ってほしい」


「……嫌です」


「結城は悪者から、お姫様を守るヒーローにはなれない」


「わたし、嫌です」

相田の驚きと怒りを込めた目が紗世を睨む。
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