僕は、先生に恋をした
僕は、先生に恋をした⑩

はるかの実家


食器を洗っているはるか
テーブルの上の携帯が鳴る

急いで手を拭いて
電話に出る

はるか『もしもし』

潤平『もしもし、先生?ごめん、
   雪の影響で新幹線が遅れてて…
    着くのちょっと遅くなるかも』

はるか『そうなんだ…大丈夫?
    …うん、うん、わかった
    じゃあまた』

電話を切るはるかを
心配そうな顔で見ている
はるかの母

母『なんだって?』

はるか『雪の影響でちょっと遅くなるって…
    また連絡くれるみたい』

母『そう…こんな雪だものね…心配ねぇ』

はるか『…うん』


母『それにしても…あなたいい人いたんじゃないの~』

はるかに肘で突っつく母

はるか『望月くんとは
    そういうんじゃないから…』

母『何言ってんの~
  あなたに会いにわざわざ来るなんて…
  はるかのこと大事に思ってくれてるのね、その人』

母の言葉にはるかが照れて下を向く


悠人と遊んでいたはるかの父が
二人の会話を聞いて口を開く

父『彼、お前の教え子だったんだろう?
  信用出来る男なのか?』

母『もー大丈夫よ!
  こんな田舎まではるかに会いに来るのよ?
  ちょっとやそっとの気持ちじゃ無理よ』

父『おい…あまり田舎田舎言うんじゃない』

母『だって、田舎じゃない』

二人のやり取りを見て
笑うはるか

――――――――――

居間


母『まぁまぁ、こんな遠くまで来ていただいて…
  寒かったでしょう
  さ、どうぞ足を崩してくつろいでくださいね』

潤平にお茶を差し出す母

潤平『あ、ありがとうございます
   あの…突然お邪魔してすみません』


潤平がはるかの父に向って言う

潤平の言葉に
渋い顔をしながらうなずく父

母『全然いいのよ、ゆっくりして行ってね』


潤平の隣には
悠人がぴったりとくっついている

父『悠人、こっち来なさい』

悠人『やだ』

その言葉に笑いながら母が言う

母『あら、お父さんより望月くんの方が懐いてるわね』

その言葉に咳払いをする父
笑いをこらえるはるか


母『望月くん、東京へは今日帰るの?』

潤平『え…はい、そのつもりですが』

母『この雪じゃ、帰るの大変でしょう?
  私の知り合いが旅館やってるから
  せっかくだし… 泊まって行ったらどうかしら』

潤平『あ…はい』

母『ちょっと電話してみるわね』

そう言って席を立つ母


はるか『泊まってって大丈夫なの?』

潤平『うん、まだ休みだし大丈夫』


父『…ところで、望月くん…と言ったかね?』

潤平『は、はい』

父『はるかのことはどう考えているのかな?』

はるか『ちょっと、お父さん
    望月くんとはそういうんじゃ…』

父『わざわざこんな遠いところまで会いに来てくれたんだ
  お前のことを何とも思ってなかったら
  ここまでしないだろう』

父の言葉に何も言えないはるか


父『望月くん…わかっているとは思うが、
  はるかは結婚歴もあるし子供もいる
  それを承知でいてくれてるんだね?』

潤平『はい、わかってます
   俺…今はまだ高校行ってて仕事も半人前ですけど
   先生…はるかさんの支えになりたいんです』

はるかの父に向かって
まっすぐそう答える潤平

はるか『…望月くん…』

潤平の言葉を聞いて
深くうなずく父


父『…ありがとう、それを聞いて安心したよ』

そう言って
お茶をすする

自分の気持ちを伝えて
ほっとした潤平もお茶を飲んでいる

そこへ
電話を終えた母が戻ってくる

母『望月くん、部屋空いてるって!
  2名で予約しといたからね』

母の言葉に
お茶を吹き出す父

潤平も驚いている

はるか『ちょっ…お母さん2人って…』

母『え?あなたも一緒に泊まるでしょ?
  あそこの雪見温泉、 最高よ』

はるか『わ…私も泊まるの?』


みんなが驚いた表情で
顔を見合わせる

< 22 / 23 >

この作品をシェア

pagetop