神様の落としもの
俺が何故こんなにも恋愛に対して臆病になっているのかというと、姉貴の恋愛を見てきたから・・・。

それは俺がまだ中学生の時-

姉貴が高校生で初めて出来た彼氏を、嬉しそうに家に連れてきた。

その日以来、毎日毎日彼氏は家に来て姉貴と彼氏は仲良く楽しそうにしていた。

それがパタリと彼氏は家に来なくなり、姉貴も部屋にこもりがちになった。

毎日毎日・・・姉貴は泣く日々が続いた。

その時、幼い俺でも二人は別れたのだと悟ったくらいだった。

いったい、いつになればその痛みから解放されるのかと思うくらい姉貴の沈んだ生活は続いた。

俺は失恋した姉貴の姿を目の当たりにしていたから、あえて自分が傷つく道を避けていたのだと思う。

恋愛には目を向けず、テニスに没頭した。

それはそれで、充実した生活が送れていたから特に彼女が欲しいとも思わなかったし、作りもしなかった。
< 39 / 40 >

この作品をシェア

pagetop