冷たい彼-初恋が終わるとき-
*
着かれていかれた先は裏庭だった。
中庭ほどない裏庭の花壇に植えられた花は、水やりをされた後なのか、露できらきらと輝いている。
用務員さんが水やりをしたのかな。生気に満ち溢れた瑞々しい花に目を奪われていると、視界の端にいる落合君が口を開いた。
「いきなりごめんね」
抑揚のない声はあきらかに悪いと思ってるトーンじゃない。
スカートをギュッと握り締める。
何で、私は落合君に呼び出されたのだろうか。訳が分からない。私には直接的な接点はなかったはずだ。だってまず、話すことがない。
隠れファンクラブもあって、世紀の美少年と名高い落合君に呼び出される覚えなんて、無いのに。客観的に見て、幼なじみの彼女、彼氏の幼なじみ、と言うだけ。
「僕は君に聞きたいことがあったんだ」
「…わ、たしに?」
「うん」
悪い話じゃないのか、怒るわけでもなければ、何かを咎めるわけでもないフツーの語り口で話しかけられて、戸惑いを隠せない