冷たい彼-初恋が終わるとき-




「実は椎名さんが蓮と付き合ってる事は早乙女君から聞いたんだ」

「…え、早乙女君から…?」

「うん。めちゃくちゃ嫌み言われた。蓮にはお前なんかじゃなくて、もっと良い女が出来たって」




顔面蒼白になる。


早乙女君は何て大層な事を言ってくれたのか。




「ご、ごめんなさい…っ」

「ふふ。何で椎名さんが謝るのさ!」




笑う如月さんはやっぱり私より魅力的な女性だ。




「私は早乙女君に嫌われてるから仕方ないよ。早乙女君って蓮の親友でしょ?だから、平気な顔して蓮を傷付ける私が許せないんだよ」

「…そ、れってどういう、意味…?」




小さい声で呟く。


しかし苦笑いで誤魔化されてしまった。




「早乙女君は本当に親友思いだよ?初対面で“もう蓮に近寄るな”って言われた時は流石にビックリしたけど」




それで乙樹と喧嘩しちゃって犬猿の仲なんだよねーと笑う。


彼女を見ていて胸がズキリと痛むのは、小田切君の彼女だからか、桐生君の好きな人だからなのかは分からない。


ただ彼女を見てると自分の見窄らしさを思い知らされる。


如月さんは同性から見ても綺麗な女性。なのに無邪気な笑顔は可愛くて目を奪われてしまう。それに、如月さんは頭も良い。小田切君に次ぐ次席はいつも、如月さんの名前だ。


< 155 / 201 >

この作品をシェア

pagetop