冷たい彼-初恋が終わるとき-
「さよなら」というラブレター

蓮side

13




いつしか俺の中にはあの女がいた。
相変わらず、霞んだ花のような女が。

認めたくなかった。
嫌だった。
こうも、愛おしくなるなんて。

もう傷付きたくなかった。
まだアイツを想う俺がどこかにいる中で、殻を破り捨てるのを拒絶した。



「もう逃げるのは止めにしよう」



だが認めてしまえば、すとんと心が軽くなる。

その時脳裏を過ったのは幼き頃の記憶。



『蓮だーいすき!』

『俺も、すき』



あれから十年。
やっと気持ちに終始符を打てる。

煩わしかった恋心は今では穏やかで、心地良い。

まだ幼いふたりで歩いた道は、呑み込まれるほど広大で自由になれる、青空の下。



「桐生君が好き」



かつて見上げたあの空は、
今日と同じ空だった。




< 191 / 201 >

この作品をシェア

pagetop