冷たい彼-初恋が終わるとき-

花霞side






■□■



「あ、」



ーー小田切君だ。
グッとその言葉を呑み込む。


廊下で小田切君とすれ違うたび、無意識のうちに目で追っている。見たら辛いだけだと分かっているのに、癖でつい見てしまう。


それは今日も同じで、横を通りかかったときにふと足を止めてしまった。すり抜けるときにふわりと香る優しい匂いに、クラリとキた。


僅かに振り返れば、小田切君は変わりなく廊下を歩いていく。急に立ち止まった私を見る事もなく、ただ普通に移動していた。



「花霞ちゃん?急に立ち止まったりなんかしてどうしたの?」

「う、ううん。何でもないよ」



慌てて、少し前で私を待ってくれている星絆ちゃんの元へ駆け寄る。




< 89 / 201 >

この作品をシェア

pagetop