ヤンデレ兄弟と同居しているが、もう限界。
静かな笑みを湛えた赤く薄い唇は弧を描き、こんにちは、と柔らかな声を発した。

同時に優しそうな目を少し細め、目元を飾る泣きぼくろを色っぽく動かす。天然らしきこげ茶の猫癖っ毛も、それに合わせてふわりと揺れた。


着ている服は某ユニーククローズさんのだけど、その平凡さをまったく感じさせない、イケメンっぷりに思わず感服。

少女マンガから飛び出してきたと言われても納得しちゃうくらい。



彼は笑顔を崩さず、お姉さんと私を隔てる机にティーカップ、ポットと角砂糖がのった、丸いトレーを置いた。




「棗、ありがとう」
「うん。僕は東條 棗です。僕は14だから、君と同い年だね。よろしく」
「霊仙 向日葵です。よろしくお願いします」
「まぁ、そんなに堅くならなくていいのよ。私たちもう、家族なんだから」




何気なく発された言葉だろうが、私にとってはたまらなく嬉しい言葉だった。うん、と棗さんも頷く。




「そうだね。じゃあ、僕のことは棗、と呼んでくれると嬉しいな」
「う、うん。わかった、棗…」
「あはは、可愛らしい子だね。なら、僕は向日葵と呼ばせてもらおうかな」
< 4 / 21 >

この作品をシェア

pagetop