夜人【ヨルヒト】さん
「…………」

完全に動かなくなったサナミを、エミカは見つめていた。

顔面は赤く焼けただれ、原型をとどめていない。

「どうしたの?」

夜人の問いかける声に、エミカは力なく首を振った。

「なんでもない……ううん、あのね」

深いため息が漏れる。

「こうしてやりたいってずっと思っていたのに……どうしてこんなに……」

唇を噛み、残りの言葉を切る。

「…………」

夜人が手を差し伸べる。

「行こう」

エミカは頷いた。横たわる二つの死体を、順番に見る。




「あと、一人」
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