夜人【ヨルヒト】さん
チサエ
「キャアアアア! いやああああ!」

絶叫しながら、チサエは必死で走った。

廊下を駆け抜け、外へと飛び出す。


『チサエエエエェエ……』


耳の奥で、エミカの呻き声が蘇る。

背後から足音が追いかけてくる。誰かを確かめることもできず、ただ恐怖に追われてチサエは走り続けた。

(怖い! 怖い怖い怖い!)

息が上がり、汗が吹き出している。なのに、首筋から背中にかけてが凍りついたように寒い。
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