Dream。~君と私の応援歌~


全部思い出した――。


楽しい思い出も、悲しい思い出も、全部。


私の手から作詞ノートが落ちる。


「雫!?どうしたの!?大丈夫!?」


心春が私の肩に手を置いた。


「……っ。心春っ……」


「雫……。まさか、記憶が……」


心春の目がどんどん見開いていく。


そのとき、応援団の一人が叫んだ。


「綾野くん!!頑張って!!」


その言葉に私はグラウンドをみる。


バッターボックスに座り込んでいる湊くんの姿があった。


何度もバットを支えに立とうとしてるけど、なかなか立てない様子。


私はギターケースからギターを取り出すと、観客席の最前列まで走り、フェンスに張り付いた。


「湊くんっ!!!」


私の声に湊くんがゆっくり振り返る。


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