続・生意気毒舌年下男子







階段を下り切ると、あたしはエントランスに立っているアイツの背中を見つけ、思わず鞄を抱きしめた。

アイツが怒っていることは、一目瞭然だ。




なんて声をかけようか迷っていると。

ソイツからくるりと振り返った。





「……遅い」

「ごめんなさい……」




あたしは謝りながら、とぼとぼと近づく。





早乙女二瑚(さおとめ・にこ)。

あたしのお隣に住む、彼氏。




170センチのあたしに比べ、小さな身長。

それは年下だから、しょうがないと思う。




サラサラの艶のある黒髪。

整いすぎた顔立ち。

繊細なフレームの眼鏡。

声も綺麗で、滑舌も良い。




「何見とれているんだよ、さっさと行くぞ」

「あ、うん……」



危ない危ない、見とれていたわ。

かっこいいんだもん、二瑚は。

あたしには勿体ないくらい。







< 3 / 98 >

この作品をシェア

pagetop