続・生意気毒舌年下男子
階段を下り切ると、あたしはエントランスに立っているアイツの背中を見つけ、思わず鞄を抱きしめた。
アイツが怒っていることは、一目瞭然だ。
なんて声をかけようか迷っていると。
ソイツからくるりと振り返った。
「……遅い」
「ごめんなさい……」
あたしは謝りながら、とぼとぼと近づく。
早乙女二瑚(さおとめ・にこ)。
あたしのお隣に住む、彼氏。
170センチのあたしに比べ、小さな身長。
それは年下だから、しょうがないと思う。
サラサラの艶のある黒髪。
整いすぎた顔立ち。
繊細なフレームの眼鏡。
声も綺麗で、滑舌も良い。
「何見とれているんだよ、さっさと行くぞ」
「あ、うん……」
危ない危ない、見とれていたわ。
かっこいいんだもん、二瑚は。
あたしには勿体ないくらい。