ビターバレンタイン




 私は気づいてしまった。
 祐輔には、別の存在があることを。

 それは恋人なのかわからない。
 けれど、ただの友達ではない。

 私は気づいてしまったのだ。

 その、祐輔が持っている天秤に。
 そして天秤にかけているのは、私と、彼女であることに。


 その天秤は、今のところ私のほうが勝っている。祐輔は私との約束は守る。私といるときは、私を見ていた。当たり前だが、彼は私を彼女としていたし、私も祐輔を彼氏とした。
 

 恋人。
 好きだから、付き合った。

 彼の一番になりたくて、なれた時は嬉しかった。嬉しくて、ふわふわして。


 ――――馬鹿みたい。



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