文学少女と甘い恋
例えるなら『忍ぶれど』です




ザワザワとうるさい教室。



特に気にすることもなく、わたしは本のページをめくった。



どうせいつものように、通称スイートプリンスなる学園の王子様が来たんだろう。



その予想は当たって、程なく女の子たちの頭が痛くなるような高い声があがった。



キャイキャイと騒ぐ真ん中にわたしは目を向ける。




ミルクティー色の髪が中心でふわふわと揺れている。



男の人とは思えないぐらいほんのりと色づいたら滑らかな肌。



紅い唇と、印象的なタレ目がちの茶色の瞳。



全体的に甘い顔立ちの彼の名前は甘樫 リオン(あまかし りおん)くん。



わたし、雨宮 柚雪(あまみや ゆゆき)のクラスメートで。



わたしの想い人だ。







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