つよがり[スランプ中]
「真那、斗?」
どこからか聞こえた
愛しい、彼の声
苦痛に耐えるような声で僕を呼ぶ
「クロ?どうしたの?」
「あ、いえ何でもありません。
ところで那月さん、僕の教室ってどこですか?」
考えてはいけない
真那斗の事はもう、忘れるんだ
忘れないといけないんだ
「クロは1-6だよ。
ついでに、担任は春音だよ」
「そうなんだ、那月さんありがと!
ハル君、行こっ!」
無理に笑顔を作って笑う
「はいっす」
だから、お願い気付かないで
「クロ」
「ん?砂月さんどうしたの?」
僕の今の感情に気付かないで
「今日は肉じゃがだからなっ!」
「っ、はい!」
那月さん、砂月さん
ごめんね
「クロ、お前はどこまでーーーー」
砂月さんが言ったのか那月さんが言ったのか分からない
その言葉は僕の耳には届かなかった