王子様と堕姫様

使用人という名のお姫様





嵐のような日から何日か経った今日、
私はいつものように部屋の掃除をしていた。



今日は隣国の姫、
マリア様いらっしゃる日だ。


マリア様はとてもお優しい方だと
周りの使用人たちは言う。


”あの国のお姫様とは大違いだ”と。


私は自分の国を”あの国”と呼ばれるのが
大嫌いだった。


それと同時に、
まだ自分の国だと思っている自分も
なんだか見苦しいものだとも感じた。




今すぐにでも出ていきたいこの屋敷。


でも何だかあの王子の裏のある目、
裏のないような笑顔、
これが私の行動にいちいち水を差す。


< 13 / 41 >

この作品をシェア

pagetop