鈍恋diary

「史華がウソ吐いてたから…それより、史華は?ケンカでもした?」

「なんでもない。ってか、ウソって何?」

「あの人のこと知らないって言ってたこと…なんでウソ吐いたんだよ!」

そう言えばこの間、なんか航希が貴史君に対抗心持ってたから誤魔化したんだった。

「知ってるってほど親しい訳でもないし…なんかあんたが気にしてたみたいだから、なんとなく。…ごめんね?」

「なんか史華らしい理由…でも、それならいいや」

もっと文句言うかと思ったけど、納得したらしい。

気にしてたわりにはあっさりしてて、なんか変な感じ。

「で、なんでお前はそんな顔してんだ?」

「あ…ちょっとね。不機嫌そうな顔しかしないって言われたんだけど…」

普通にそう言われただけなら、あたしも気にしなかったと思う。

でも、あんな顔して言われると罪悪感でいっぱい。

「…けど、なんだよ?」

「あー、うん。なんか…傷付けてたのかなって。なんとなくなんだけど、ちょっとそんな気がして気になっただけだよ」

あたしの気のせいならいいけど…

貴史君、なんだか寂しそうな表情してた。
< 88 / 197 >

この作品をシェア

pagetop