メルヘンチック·レボルバー
そう言って、幸香が1つの写真を差し出した。
それは、野球部の試合の写真。
試合に勝って喜んでる場面で、帽子をとった僕の姿が正面から捉えられていた。
「あぁ、野球部の決まりだったんだよ。全員強制的に坊主。
……って、幸香……できればその写真は、じっくり見ないでほしいんだけど?」
「いいじゃない。坊主の柴本くんなんてなかなか見られるものじゃないし。
結構似合ってるよ?」
少し上目遣いでそう言われると、何も言い返せない。
当時、あれだけこの髪型が恥ずかしくて、引退した途端に髪を伸ばし始めた僕だけど……。
幸香がそう言うならそのままでも良かったかな、なんて考える僕は病気かもしれない。
そんな僕の頭の中なんて知らない幸香は、次々とページをめくっては楽しそうに笑っていた。
「これって寄せ書き?」
幸香に聞かれて、アルバムに視線を落とす。
最後の真っ白なページで、野球部の奴やクラスメイトが、いろいろと落書きをしていたところだった。