罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


その笑顔を見ていると、とても嘘が隠れているなんて思えなかった。

どっちが本当か、わからない。


私には、龍也君が心から喜んでくれているように見える。
それともやっぱりただの振りで、すぐに捨てられちゃうのかな?


私が単純だから、簡単に騙されているだけなんだろうか。


しばらく黙ったあと、彼が私の手を握った。
その冷たさに、思わずぴくりと肩が震える。


「……俺さ」

「うん」

「ひなに言わないといけないことがあって」



心が冷たくなっていく。




……言わないで。




言わなくたって、いいの。

最後まで、騙してくれるのならそれでもいいの。


嘘でも罰ゲームでも、龍也君が笑ってくれるなら私は。


だから、言わないで。



何度もそう願ったけれど、その願いが叶うことはない。


「俺、ひなに」


「……知ってたよ」


彼の口から全部嘘だと言われるのが苦しくて。
そう答えると、彼は驚いて目を見開いた。


「ごめんね、龍也君がお友達と話してるの、聞いちゃったんだ」

「……まさか」


< 90 / 174 >

この作品をシェア

pagetop