ちょこれいとけーき
非日常


「こんにちは」

「あ、こんにちは」


最初のあ、っていうのに

ちょっと期待して。

またひとりでお弁当をひろげる。


「いっただきまーす」

「おいしそ……」

「え??」

「あ、えっときこえちゃってた?」

「はい...」


照れくさそうに笑うあなたに

私の脳みそは大混乱。


「今日ね、いろいろあって
昨日の晩ご飯からなーんも食べてない の」

「そ、そうだったんですか...」


ど、ど、どうすればいいんだろ

とりあえず、お腹減ってるってことまでは

理解ができたんだけど

「あ、ごめんね?
気にせず食べて?」

「あ、えっと、あ、は、はい」

しどろもどろになりながら、

私は一生懸命頭の中を整理して...

「あ!もしよかったらですけど、
まだ口つけてないし、このお弁当どうぞ」

「え、いいよいいよ。
そしたら白石の分がなくなる。」

名前、覚えててくれたんだ...

白石花ってってネームプレートさげてたから、かな

ていうかそんなことどうでもよくって、

「いいんですいいんです
私今日お腹あんま減ってないんで」

「ほ、ほんとにだいじょうぶ?
いいよいいよ遠慮しないで」

「いや大丈夫です」

「じゃあ、お言葉に甘えてもいいかな
ほんっとにごめん!」

「全然大丈夫です!」


お弁当なんかどうでもよくって、

大沢さんと話せなことが嬉しかった。

少し、少しだけ

コーティングが剥がれた気がしたから。

「うっまいほんとおいしい!
これ、白石の手作り?」

「あ、はい一応...」

「そっかー
やっぱ料理できるのって尊敬する!」

「え、いやいやいやいや...」

「この卵焼きとか、今まででいっちばんうまい」

「ほんとですか!?ありがとうございます」


すっごく、嬉しかった。

卵焼きは得意な料理。

お母さんが昔教えてくれたから。

これからは、

料理の勉強しようかなって

また単純な私。

でもいいよね。

こんな恋みたいなの

学生時代みたいで楽しい。

話せただけで嬉しくて

好きな人のこと考えたら眠れない、

みたいな。

私ももう

さすがにそこまで

純粋じゃあないけどね、笑





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