もしも私がーcasket in cremtion。

「分かってるよ。僕らの目的は圭子ちゃんを捕まえる事じゃない。僕らの目的は圭子ちゃんを――」

「殺す事だ」

永璃が、タバコに火を点けながら靭の代わりに答えた。

「永璃……」

靭は呟いて

「何ボクのセリフ取ってんだよ!」と蹴りを入れた。

永璃は「いてっ!」と顔を歪め

「何も蹴るこたぁないだろ!」

「うるさい!」

「っかわいくねぇなあ!」と靭の頬をつねった。

負けじと靭も永璃の頬を思いっきりつねる。
そんな二人の喧嘩(じゃれあい)を見て幟呉は呆れて深くため息をつき、ボソッと呟いた。

「……聞き込みでもするかな」

その一言が耳に入り、何故か靭と永璃は慌てて言う。

「え!?し、幟呉は良いよ!休んでなよ!」

「そうだぜ!疲れてるだろ!?聞き込みは俺らに任せて!な!?」

「いや、全然大丈夫だ」という幟呉を何とかベンチに追いやった二人が、幟呉に背を向けて歩きながらことの真相を話した。

「ふい~助かった~!幟呉が聞き込みするとみんなギクシャクしちゃうんだもん。」

「だよなぁ。何せ、あのバカ丁寧な敬語とストレートな物言い……あれじゃみんなヒクわ。」

「まあ、ボク達はあれが結構お気に入りなんだけどね、面白くて!」

「だな。それにある意味お前の方がストレートだからな。」

「……でも永璃は素直じゃないよね。素直じゃなさすぎて好きな子に「良い人だけど、恋人としては見れないわっ!お友達よね。」って言われるよね。」

いけしゃあしゃあと物言う靭に

「……反撃したな。」苦笑しながら言うと、靭はニタリと笑いながら返した。

「反撃しましたとも。」

さらにこれでもかというくらいの爽やかスマイルで毒づく。

「永璃は女の子に『だけ』優しいんだよね。」

「……お前なぁ、人をむっつりみたくゆうんじゃねえよ!」

そう言って軽く靭を小突こうとした時だった

「すみません。この顔をご存じ無いでしょうか?」
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