気紛れカフェ

次の日私は雪さんに指定されたカフェへと向かった
そこは昨日訪れたカフェと違って
人がたくさんいて明るい賑やかな場所だった

「夢愛さん、ですか？」

呼ばれた方を向くと、そこには綺麗な若い女性が立っていた

「はい！雪さんですね？」

彼女がしっかりと頷いたので
私は彼女のいるテーブルに行き、向かい合って腰掛けた

「今日は、夢愛さんにお話があってきたんです」

「話って…父についてのことですか？」

雪さんは私の目をみてゆっくりと頷いた
私の体を緊張が駆け巡って行く

「湯秋さん…夢愛さんのお父さんが、奥様に浮気と勘違いされたのは、私が原因なんです」

「え…？」

雪さんは半泣きの顔で
頭を垂れた

「え、待ってください、勘違い？あなたのせい？」

「はい…実は」

雪さんはおとうに片想いしてたそうで、何度もアプローチしていたらしい
それで、お母さんがおとうのケータイを見た時に雪さんのメールを見られてしまったと言うのだ

「本当にごめんなさい…！」

私は頭の中がおかしくなりそうだった
なんで？どうして？
カラカラに乾いた喉にオレンジジュースを流し込む
なんの味もしない
甘くない、酸っぱくない、全然…味がしない

「なんで…」

「え？」

「どうして、母ではなくて私に話して下さったんですか？」

真っ白になった頭から絞り出した言葉は、そんなことだった

「湯秋さんは、夢愛さんのことが大好きだったんです」

雪さんはゆっくりとそう言った