10年の片想い
第3章

あたしたちと乱馬の共通点









あたしはお姫様抱っこされたまま、海辺に来た。

静かで、誰もいない砂浜に、トウヤはあたしを下ろした。




「……向こうの方が良いか?」




向こう、というのは階段のこと。

あたしは首を振った。




「ここで良い」

「……そうか」




音も立てずに、トウヤは座った。




「ね、ねぇトウヤ……」

「…………」

「さっき、何が起こったの?」




銃口は少なくとも、あたしを捉えていた。

撃たれなかったのが、不思議でしょうがない。

怪我もしていないし。




「カオリだ」

「え?」

「アイツは拳銃に関してはプロだ。
凜が撃たれる寸前に、凜の体を突き倒して、それを俺が受け止めたんだ」




プロ…。

何だか怖いような、頼もしいような……。







< 57 / 131 >

この作品をシェア

pagetop