Best END
END.0
このお屋敷に来て、2年が経った。

煌びやかな装飾、
錯覚とすら思えてしまうようなパーティー、
頰が落ちるような料理。

そして何より、美しい紳士たち。

私には手の届かない場所だと思っていた。

私には夢の様な場所だと思っていた。


けれど、ご主人様の手が、
偶々、私に向けられた。
それだけで捨てられたネズミだった私は
こんな場所に飛び込んでしまった。

運命って残酷なのね、って
何度も何度も神様に囁いたけれど。

返ってきたのは、私の醜い欲望だけ。

神様も残酷なのね、って
ちょっと皮肉めいて囁いてみたら
今度は醜い小さな恋心を神様はくれた。


神様は意地悪なのね。

人の夢と書いて「儚い」なんて。

そんなもの。



私のこの感情は、
小さな恋心。

この感情は、
私の小さな夢で終わってしまうって、
分かってるのよ。


でも、夢しを見続けることくらい、
許されると、思うの。
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