僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
2月13日 (金曜日)


「三上くん、コレ受け取って下さい!」


「あ、わたしのも〜」


「ありがとう。ホワイトデー楽しみにしといてね!」


「えぇ〜うれしい!」





朝から、そう、朝から就業時間前とか、昼休みとか、いちいち隣で繰り返されるやり取りがいい加減鬱陶しい。


やり取りを終えた三上波留は、どっからともなく貰ってきたダンボールに受け取ったチョコレートを入れて行く。


初め見たとき『大き過ぎだろ』と思ったダンボールが今はほぼ満杯なのが憎たらしい。



隣の席の三上波留は、人懐っこい性格と甘いマスクで社内の女子社員から絶大な支持を集めている。



そして、その彼は驚くべき事に私、遠藤渚の恋人だ。



顔よし、性格よし、そして仕事まで出来るこの男は、どうやら女の趣味がおかしいらしい。



メールを知らせる音に反応して携帯を開けば、目の前に居る同期の由佳からで



『あんなはあげないの?』



と書いてあった。


チラッと由佳を見ると、底意地の悪そうな顔でこちらを見て来るから


『顔が不細工になってるよ』



とだけ送り返してやった。



それを見た由佳は肩眉だけピクッと上げた後、わざとらしく大きなため息をついた。

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