コトノハの園で
電磁調理器の電源を切り、ひと段落したからと伊達さんが健人の隣に座る。さっきまでは忙しなく動いてくれていて、空いていた健人の隣は、これでようやく通常仕様というかんじだ。こういう光景が、しっくりくる、ということなのだろう。
「うんうん。確かに阿呆かも」
健人に賛同し、伊達さんが大きく頷く。
「だろ?」
「うん。健ちゃんの言い方はなかなかにナイスだね。森野君、冬くらいからおかしかった。会った時もお祝い言ってくれなかったし珍しかったよね。――昔みたいな様子じゃなかったから見守らせてもらってたけど」
「あっ、あの時は、許容量以上の懸案事項がね。……チョコのこととか」
情けなくも、健人だけでは飽き足らず、その頃は伊達さんにまで相談してしまった。女性の意見も、必要だと思ったものだから。
最良な対処の方法が、まるで分からなかったものだから……。
――
就職先のチョコレート。自分はいらないからと、彼女から渡された。
ただそれだけのことだと。
けれど、様々なことが伏せられているのは解っていたし、向こうも僕の理解を承知していた。
ただただ、その場をやり過ごすための……。
僕たちの間で紡ぎだせる言葉は、あそこでは、それしかなかった。
貰ったものの、本当にこれでいいのかとふたりに相談すると、軽く、そう、本当に飛んでいってしまいそうなほどの軽さで、『食べちゃえばいい』と助言されただけだったけれど……。