大嫌いなアイツの彼女になりました。
「ほら、双葉。作ってやったぞ」
「わぁ!すごいすごい、砂のお城だー!」
砂場で、泥だらけになった望月相馬が誇らしげに笑っている。
「……ねえ、相馬くん。泥だらけだよ。おばさんに怒られちゃうよ?」
あたしはそんな望月相馬にそう声をかけた。
「えっ?大丈夫だって。怒られた時はその時だろ」
「……洗濯、大変だろうな」
ポツリとそう呟いたあたし。
望月相馬に作ってもらった砂のお城で楽しそうに遊んでいる双葉ちゃんには、きっと聞こえていなかったと思う。
望月相馬の、
「……平気だって。大人になったら、純香ちゃんが洗濯してくれるんだから」
なんて言う言葉は。
「え、それってどういう意味?」
「………別に」
望月相馬は恥ずかしそうに頬を赤らめた。
けど、それは一瞬で、すぐに双葉ちゃんと楽しそうに話し始めた。
あたしはそんな望月相馬を見つめながら、くすっと笑った。
「……ってか、大人になっても砂遊びするつもりなの?」
……この夢が、本当にあったことなのか、あたしは覚えていない。
けれど、何故か懐かしく感じた。