大嫌いなアイツの彼女になりました。

　……中川くんって、何を考えているのかよく分からない。


　だって、いつも笑顔だから。


　ずっと笑顔の人って、ある意味一番表情が読めない人なのかもしれない。

　心の中に持っている感情が分からないから。





「昨日ね、帰りにたまたま相馬に会って、全部聞いたんだ。」


「そ、そうだったんだ……」


　全部ってことは、復讐のこともだろう。



「相馬ね、お前誰だよ！ってくらい元気なかったよ。なに言っても、空返事でさ。例えるならねぇ、〝抜け殻〟って感じかな」


　中川くんはその時の状況を思い出しているのか、くすっと楽しそうに笑った。



「…………。」

　あたしに一緒に笑う元気はなくて、黙り込む。



「……あー、それはこっちもか」

　中川くんはそう言うと、慰めるようにあたしの頭にポンッと手を乗せた。




「……引いた、よね」


「え？何に？」


「……あたしに。復讐の為に望月相馬と付き合ってたのも、聞いたんでしょ？」


　あたしは視線を落とした。


　中川くんは少しの間考え込むように黙っていたけど、またくすっと笑って、

「んなわけないじゃん。むしろ……好感持ったかな」