大嫌いなアイツの彼女になりました。

誕生日










「うわー、緊張する!」




 あたしは列に並びながらそう言った。

 後ろにいる夏音(かのん)もニコッと笑って頷く。


「同じ班がええなーっ」

 するとあたしの前にいる希依(きい)も振り返ってそう言った。


「ねえ!まあ、三人同じは無理だけどね……」

 こういう時、クラスの女子の少なさが嫌になる。

 あたしのクラス……というか学校自体が男子の方が多くて、あたしのクラスでも男子が三人いる班はあるけど、女子が三人いる班はない。



 夏音も希依も、高校に入ってからの友達。

 夏音は去年も同じクラスだったけど、希依は今年関西から転入してきたんだ。


 でも二人とも、あたしにとっては大切な存在。



「ってか、あみだって神頼みやん!どうしよ、私日頃の行い悪いからヤバい!」

 希依はそう言うと、「神様ー!」なんて今更神様に媚を売った。




 今は、席替え中。


 始業式からもう四日経ったし、当たり前だろう。

 あたしのクラスは担任の意向であみだくじで席を決めるから、運の使い所だ。


 と言っても、あたしは同じ班の女子が良い人だったらいいなとか、窓際の席とかいいななんて思ってるだけだけど。

 まあ、だからといって、緊張しないわけじゃない。



 だからあたしも希依と同じように、思い切り神頼みしながら紙に書いてある棒の上に名前を書いた。






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