ちょこれーとは手渡しで

ばたん、再びふたりっきりになる。


「ハクさんて、何歳なんですか?」

唐突な質問に片眉を上げ、私の真意を図ろうとする。
それでも

「……27です」

答えてくれるが予想以上、まさかの11歳差。

「誕生日いつですか?」

「…………12月25です」

いつもなら正面からバッサリ質問を斬られていたのに今日は素直に答えてくれる。まあ、真実かはわからないけれど。

「仕事、何してるんですか?」

「……デジタルアートをやってます」

「……好きな人、いますか?」

「質問攻めですか」

「彼女、いるんですか?」

私の震えた声にふう、と息をはく。
そのため息にもとれる吐息にびくりと体が固まるのがわかった。

「…………いたら、家に女の人をあげないでしょうね」


その遠回しな言葉が頭の中をぐるぐる回り、、意味が解って顔をあげると彼は私に背を向けていた。


きっとこれが最後の機会、

「……ハクさん」

背を向けたまま何も言ってこない、けど私の話を聞いてくれてるのは分かる。


「去年のクリスマス、、ハクさんに出会えて本当に救われたんです。
大袈裟かもしれないけどハクさんが運命の人って思えるくらいに、

私、ハクさんが好きです。

ハクさんのこと何も知らないけど、それでも好きです。

私と付き合って、くれませんか…?」


何も言ってくれない時間がたつ、、それが答えかな。

絶対に下は向かない、もし急にハクさんが振り返ったとき、上を向いていなきゃわかんないし、勿体無いことしたなって思わせるくらい笑顔で立ち去ってやるんだから。


「……ふ」

時が止まっていたかのようにハクさんが息をはいた。


「もし、断ったら諦めるんですか?」

「っ!??あ、諦めません!!」

咄嗟に口をついて出た本音、


「そうですか、」

手を伸ばしてくるハクさんをぼやけた視界で見る。

くしゃくしゃ、頭を撫でられ ほっと安心したその一瞬で私の涙腺は崩壊する。


「…………ずるい、」

「ありがとうございます」


初めて見た彼の笑顔は、想像していた物と比べ物にならないくらいで…顔の温度は急上昇する。


「ハク、、さんっ」

「はい」

すぐに帰ってくる返事にえへへ、自然と笑顔になれる。

「その笑い気持ち悪いですね」

酷い、唇を尖らせてむくれた私にとどめのひとこと、

「不細工、、」

「うぅ………ハクさん、どんな人がすきなんですか?」

「そうですね………感情表現が豊かな、人ですかね」

「じゃあ、、、私一生心のままに生きていきますから!!」

覚悟してください!!!!


今できる最高の笑顔を向けて言い放つ。

その言葉に返事をせず彼は私をそっと抱き寄せた。


「……望むところですよ」


どうやら彼の彼女の位置にまで一歩前進したみたいです。




End.


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